中国大会の組み合わせ方式に秘められた作意とは

火曜サスペンス劇場のような意味深なタイトルですが・・・。

中国大会の組み合わせ方式に関して、私が問題点と思うものを以下に列挙してみました。
  • 同県勢2校が1回戦で勝利しても、2回戦で対戦する配置となっているので、開催県の4校あるいは他県の3校すべてが準決勝まで進出する可能性を意図的に閉ざしている。最多でも2校しか進出できない。
  • 1回戦の組み合わせにおいて、対戦県が同じカードが複数生じてしまう。

具体的には

  • A県1位校-開催県3位校,A県2位校-開催県4位校,A県3位校-開催県2位校
  • C県1位校-D県3位校,C県3位校-D県1位校
  • 8カード中5カードが対戦県が同じカード。

なんとA県にいたっては、代表校3校すべてが開催県代表校と対戦するすることになってしまうのです。
※5県から3校ないし4校が出場するわけですから、数学的に対戦県が同じカードが複数生じてしまうのは必然ですので、ある意味しょうがないのですが・・・。なるべく少なくして欲しいものです。

中国地区の高野連は、どうしてこんな問題点の多い組み合わせ方式を採用したのでしょうか。
そこに、希望的結果を実現する為に企図された作意を感じてしまいます。


中国地区の組み合わせ方式がどれほど奇妙なものであるかを再認識してもらう為に、
加盟県数5・出場校数16と条件が中国地区とまったく同じ北信越地区の組み合わせテンプレートを掲載してみました。

  • 開催県も他県も、同県勢が準決勝まで対戦しないように配置されています。
  • 1回戦の組み合わせにおいて、対戦県が同じカードが
    A県1位校-B県3位校とA県3位校-B県1位校
    D県2位校-開催県2位校とD県3位校-開催県1位校の4カードです。

数字的には中国大会と大差はありませんが、対戦県が同じカードが3というのはさすがにないです。
こうみてくると、中国大会の組み合わせ方式はやはり絶対的にも相対的にも奇妙ですね。

 

中国大会の組み合わせ方式がこんな奇妙な方式に変更になったのは、96年度(95年)の秋季大会からです。それ以前の大会は、開催県特権はなく、各県代表枠2校の計10校の大会でした。開催県特権を設けて他県よりも1校多い4校にしたのは、他地区でも採用しているところが多く、「配慮」の部類に入ると思うので、別段問題だとは思いません。しかし、同県勢が2校しか準決勝に進出できないようにしたのは、なんらかの作意があるとしか考えられません。他地区で、こんな奇妙な配置(組み合わせ)方式を採用しているところはありませんので。

どうしてこんな作意に充ちた方式を採用したのかといえば、中国地区ならではの特殊な事情があるからだと思われます。広島勢と岡山勢は中国地区では昔から強かったのですが、時間の経過とともに広島勢・岡山勢はさらに強くなり、山口勢・山陰勢は絶対的にも相対的にも弱体化して、ある時期から両者の間に歴然たる実力差ができてしまったようです。実力が2極分化した状況で、代表校がすべて準決勝に進出できる可能性のある組み合わせ方式を採用したならば、組み合わせ次第では、広島勢と岡山勢が上位を独占してしまう事態が想定されます。こうなれば、必然的に選抜出場校も広島・岡山勢ということになるわけで、これでは山口・山陰勢が面白くない。そこで各県高野連の思惑が絡み合い出した結論が、世にも奇妙な「同一県の代表校に上位を独占させない」という作意に充ちた組み合わせ方式の採用なのでしょう。こういう方式はもう「配慮」とは呼べないもので、「作意」以外の何ものでもありません。21世紀枠も作意に充ちた制度ですが、中国大会の組み合わせ方式も同様です。こんな作意に充ちた方式は廃止して、他地区と同様な機会均等型の組み合わせ方式に変更すべきだと思います。最後に、「配慮」はいいけど、「作意」はいけません。

中国地区の勢力地図の変遷を知る為に、1965(S40年)以降の選抜出場校数の県別推移表を以下に作成してみました。よかったら参照してみて下さい。

〜昭和40年代〜
5県ともそれほど差はありません。

年度 山口 広島 岡山 鳥取 島根
65(S40)     1 1  
66 1     1 1
67   1 1    
68 1 2 1    
69   1 1   1
70   1   1 1
71 1       1
72     1 1 1
73 1 1 1 1 1
74 1 1 2 1  
出場校数 5 7 8 6 6

〜昭和50・60年代〜
広島の実績が群を抜いています。

年度 山口 広島 岡山 鳥取 島根
75(S50)   1 1 1  
76 1 1 1   1
77   1 1 1  
78 1 1 1   1
79 1 1   1  
80   1 1 1 1
81   1 1 1  
82   1 1   1
83 1 1     1
84 1 2      
85(S60) 1 1 1    
86 1 2 1    
87   1 1   1
88 1 2   1  
出場校数 8 17 10 6 6

〜平成以降〜
岡山が広島に迫っています。
不思議なことに方式変更後、
山陰勢はいっそうの劣勢モードに?

年度 山口 広島 岡山 鳥取 島根
89(H1)   1   1 1
90     2 1  
91   2     1
92   2   1  
93(H5) 1 1 1 1  
94   1 1   1
95 1 1 1    
96
方式変更
  1 1 1  
97 2   1    
98(H10) 1 1 1   1
99 1   1   1
00 2 1      
01   1 2    
02   2 1    
出場校数 8 14 12 5 5
 

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