3強の高くて厚い壁を乗り越えろ!

〜前 説〜

明徳義塾が台頭する以前は、高知商業・高知高校・土佐高校が「高知3強」とされていました。しかし、今現在は土佐高校と明徳義塾が入れ替わり、明徳義塾・高知高校・高知商業が「高知3強」とされています。また最近では、、この「高知3強」内でも明徳義塾が甲子園出場回数や県大会優勝回数などで高知・高商を大きく上回る実績を残しているので、「高知1強」という感がしないでもないですが。しかし、高知・高商の2校も明徳には分が悪いものの、県内他校と比較すると戦力・実績面で大きく上回っています。もし、この2校が甲子園に出場しても明徳と遜色ない成績を残すのではないかと思われるくらいです。この高知3強はいずれも全国レベルの力を有しており、高知県内他校との力の差は歴然としています。高知の高校野球界は、毎年度・毎大会この3強を中心として展開されているのが実情です。3強以外の他校が勝ち上がって行くためには、圧倒的戦力を有する「高知3強」という高くて厚い壁を乗り越えなければなりません。そこで、「高知3強」がいかに強く、3強以外の他校が「高知3強」という高くて厚い壁を乗り越えることがいかに難しいかということを「対決の図式」という観点から検証して行きたいと思います。
※以下の文章・表中では、3強以外の高校を「他校」と表記しますのでご諒解ください。

 

平成以降の夏の甲子園出場回数と97年度から01年度秋季大会までの県大会優勝回数という2つの面から3強の強さを検証してみました。甲子園出場回数では、明徳が12大会中6回(占有比率0.500)と最多。「3強」という括りでみると10回(占有比率0.833)と「3強」の寡占状態であることが分かります。他校で出場したのは、平成1年の土佐と6年の宿毛のみ。3強はここ一番でも強いということですね。県大会優勝回数でも、3強が13大会中12大会に優勝(占有比率0.923)と、他校の付け入る隙を与えなかったみたいです。他校で優勝したのは、99年度春季大会の岡豊のみ。ただ、県大会優勝回数(占有比率)で注意しなければならないのは、97年度から選抜に4年連続で出場した明徳が春季大会に参加していないこと(四国の春季大会は選抜大会と日程が重なる為、選抜出場校は不参加)。その為、明徳の優勝占有比率が0.461と低くなっていますが、実質優勝占有率は0.667(9大会出場中6回優勝)です。このデータからも明徳の戦力の充実ぶりが分かります。

〜3強・他校成績比較表〜

  明徳義塾 高知高校 高知商業 3強合計 他校
夏の甲子園出場回数 6 0 4 10 2
夏の甲子園出場占有比率 0.500 0.000 0.333 0.833 0.167
県大会優勝回数 6 3 3 12 1
県大会優勝占有比率 0.461 0.231 0.231 0.923 0.077

〜参考データ〜

平成以降の甲子園出場校一覧表及び97年度から01年度秋季大会までの上位成績表

97年度から今年度までの通算成績ランク表

 

97年度から01年度秋季大会までの3強の成績を「通算成績」・「他校との対戦成績」そして「3強直接対決成績」という3つの面から多角的に分析してみました。他校との対戦では、3強ともに0.900前後という高い勝率をあげています。圧巻なのは、明徳が他校には1度しか負けていないということ。毎年度戦力が一定レベル以上を維持しているということの証明でしょう。次に、戦力が比較的接近している3強の直接対決では、さすがの「常勝」明徳も勝率が0.786と低くなっていますが、それでも高知や高商の勝率を大きく上回っています。高商は明徳にも高知にも大きく負け越しており、ただいま苦戦中といったところでしょうか。この結果をみると、高知の野球界は「3強」から「明徳の1強」時代に移行しているような気がします。高知高校野球界の今後の為にも、高知・高商には明徳の独走を許さないよう是非とも頑張ってもらわなければなりません。
※通算成績をクリックすると3強の通算成績表が表示されます。

〜3強成績分析表〜

  明徳義塾 高知高校 高知商業
通算成績 39勝4敗 40勝11敗 38勝11敗
通算成績勝率 0.907 0.784 0.776
他校との対戦成績 28勝1敗 35勝4敗 35勝2敗
他校との対戦成績勝率 0.966 0.897 0.946
3強直接対決成績 11勝3敗 5勝7敗 3勝9敗
3強直接対決成績勝率 0.786 0.417 0.250
3強直接対決成績内訳 高知高校:6勝1敗
高知商業:5勝2敗
明徳義塾:1勝6敗
高知商業:4勝1敗
明徳義塾:2勝5敗
高知高校:1勝4敗

 

〜3強直接対決成績表〜

  明徳義塾 高知高校 高知商業
明徳義塾

97年度秋季FR:○6-5
97年度春季CM:○6-0
98年度秋季SR:○1-0
98年度春季CM:●3-4
98年度夏季FR:○2-1
99年度秋季FR:○7-3
99年度夏季FR:○8-5
97年度秋季SR:○6-3
97年度夏季FR:●0-1
98年度秋季FR:●3-5
99年度秋季2R:○6-1
00年度秋季FR:○6-3
00年度春季CM:○14-2
01年度秋季2R:○8-5
高知高校 97年度秋季FR:●5-6
97年度春季CM:●0-6
98年度秋季SR:●0-1
98年度春季CM:○4-3
98年度夏季FR:●1-2
99年度秋季FR:●3-7
99年度夏季FR:●5-8

97年度春季FR:○2-1
97年度夏季SR:●2-3
98年度夏季SR:○3-1
99年度春季2R:○6-3
99年度夏季QR:○6-4
高知商業 97年度秋季SR:●3-6
97年度夏季FR:○1-0
98年度秋季FR:○5-3
99年度秋季2R:●1-6
00年度秋季FR:●3-6
00年度春季CM:●2-14
01年度秋季2R:●5-8
97年度春季FR:●1-2
97年度夏季SR:○3-2
98年度夏季SR:●1-3
99年度春季2R:●3-6
99年度夏季QR:●4-6

※CMとはチャレンジマッチの略で春季四国大会出場校決定戦のことです。

 

97年度から01年度秋季大会で3強に挑み、金星に相当する勝利を上げた高校と3強に善戦し冷や汗をかかせた高校を以下に列挙しました。3強から金星を上げた高校は、のべ7校。内訳は、かつて高知3強の一角を占めていた土佐高校が3つ、岡豊高校が2つ、宿毛高校・高知東高が各1つ。特に高知東高は、選抜6年連続・甲子園大会7季連続を目指した明徳の野望を打ち砕く大金星を01年度秋季大会であげました。この結果をもって、高知高校野球界が「3強時代」から「戦国時代」へ突入したとは言い切れないと思います。高知3強の壁は高くて厚く、ぶち破ることは至難の業。一朝一夕にできることではありません。しかし、3強に続く二番手グループが3強を脅かす存在となり、中下位グループが善戦まではいかなくともコールドで大敗しないようになれば、高知の高校野球のレベルは確実に上がります。よく高知の高校野球のレベルが高いと言われていますが、それは3強の実力を評価したものであって、高知高校野球全体を評価したものではありません。私の個人的感想としては、高知高校野球全体のレベルはそれほど高くはないような気がします。高知高校野球全体のレベルを上げるのは、他校の頑張り次第だと思います。3強相手の小・中・大善戦の試合数や高校数の増減が、レベルの指標だと思います。高くて厚い3強の壁を一挙にぶち破ることはできませんが、不変と思われていたベルリンの壁も崩壊しました。きっといつかは3強の壁をぶち破ることができるはず。私はそう信じています。頑張れ、高知のベースボールキッズ!

あのベルリンの壁も崩壊した。3強の壁をぶち破れ!

〜3強に勝利したチームと善戦したチームの一覧表〜

3強との試合内容 明徳義塾 高知高校 高知商業
3強に見事勝利 01年度秋季QR:高知東高11-10 99年度春季FR:岡豊高校8-7
00年度秋季2R:宿毛高校3-1
00年度春季1R:岡豊高校5-4
00年度夏季2R:土佐高校2-0
98年度春季SR:土佐高校4-2
00年度夏季SR:土佐高校7-6
3強に大善戦
(1点差)
99年度秋季QR:土佐高校5-6
99年度夏季3R:室戸高校0-1
98年度夏季2R:伊野商業0-1
01年度秋季FR:高知東高2-3
 
3強に中善戦
(2点差)
00年度夏季FR:土佐高校2-4 97年度秋季QR:伊野商業3-5
97年度春季QR:中村高校3-5
98年度秋季2R:高知工業0-2
98年度春季QR:伊野商業1-3
98年度春季SR:高知南高0-2
00年度秋季1R:伊野商業1-3
97年度秋季QR:西土佐高1-3
97年度春季QR:追手前高1-3
98年度秋季QR:追手前高0-2
00年度夏季3R:中芸高校6-8
3強に小善戦
(3点差)
97年度夏季QR:高知工業1-4 99年度春季SR:追手前高2-5
01年度秋季1R:中芸高校3-6
 

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